家族葬とは

家族葬は、故人と深い絆を持つ少数の人々で行う葬儀の形式で、その具体的な定義や範囲は家庭や葬儀社により異なります。

初めて家族葬を考える方々へ、本稿では家族葬の基本的な流れや特性、その背景や注意点、そして家族葬を選択する際の考慮事項などを詳細に解説します。

人生の終わりをどのように見送るかは、故人の遺志や家族の意向、経済的な要素など多種多様な要素が絡み合う重要な決定です。この記事を通じて、適切な選択を支援し、故人を偲ぶ最良の方法を見つけるお手伝いができれば幸いです。

家族葬とは

家族葬とは、故人と生前に深い関わりのあった家族や親族、親しい友人・知人を中心に、小規模に行う葬儀の形式のことを指します。

参列人数は1名から30名程度で、一般的な葬儀（一般葬）と同様にご僧侶をお呼びすることが多いです。

家族葬の具体的な定義や参列者の範囲ははっきりとは定まっておらず、各家庭や葬儀社によって異なりますが、基本的な流れは一般葬とほとんど変わりません。

家族葬が広まった背景

家族葬が広まった背景としては、まず地域のコミュニティーの変化があります。
昔は地元で就職する人も多かったのですが、現代では都心部へ出る人が増え、故郷を離れる人が増えることで、葬儀に大勢の人を呼ぶことが少なくなりました。

また、少子高齢化による兄弟の少ない家庭の増加、経済的な理由による葬儀の縮小、2020年の新型コロナウイルスの流行による人の集まりの制限等も家族葬の広まりに影響を与えました。

密葬との違い

家族葬は、密葬とは異なります。
密葬は、家族葬と同様に近親者や親しい人だけで行われますが、本葬を後日に改めて行うことがあります。

一方、家族葬は、近親者だけで葬儀を行い火葬するところまでが一つの葬儀として完結します。
もちろん、家族葬でも祭壇のしつらえや演出にこだわった葬儀が行われることがあります。

家族葬の割合

全国で行われている葬儀の割合では、家族葬が65.5%を占めており、一般葬と並んでスタンダードになっています。
「家族葬」自体は1990年代半ばからあった言葉ですが、広く知られるようになったのは2000年以降です。

家族葬はどんな人に向いているのか

家族葬は、身内だけで静かに故人を見送りたい方、大人数にならない方、費用を抑えたい方、予期せぬ突然の訃報で迅速に葬儀を行いたい方などに適しています。
また、故人の生前の希望や、家族全員での意思決定などが重視されるため、家族間でのコミュニケーションを深める機会にもなります。

家族葬の注意点

しかし、家族葬にもいくつかの注意点があります。参列者が少ないということは、故人との絆を共有する人々が少ないということでもあります。そのため、故人の死を広く伝える手段を用意しておくことが重要です。

また、葬儀は故人の人生を偲び、生者が故人との別れを受け入れる場でもあります。大人数で行う葬儀の場合、参列者全員が故人との別れを共有し、故人を偲ぶことができます。

しかし、家族葬の場合、その機会が限られてしまうため、それぞれの状況や感情に配慮した形で故人を偲ぶ時間を設けることが大切です。

家族葬の費用や規模

家族葬は、一般的な葬儀よりも費用が抑えられるとされていますが、それは主に参列者の人数や会場の規模などによるもので、必ずしも安価とは限りません。
また、葬儀は法律で決まった形式があるわけではないため、故人の遺志や家族の意向により、形式や規模は自由に決めることができます。

まとめ

以上のように、家族葬はその形式や特性により、故人との別れを深く、そして心から偲ぶことができる特別な場となります。しかし、その一方で、参列者の範囲や葬儀の規模など、各家庭によって異なる点が多く、その都度、適切な準備や配慮が求められます。そのため、家族葬を選択する際には、故人の遺志や家族の意向、予算などをしっかりと考慮した上で、適切なプランを選び、故人を偲ぶ最適な葬儀を行うことが大切です。